Polo Yazaki – Highway Star (ソロ・アコースティックギター Cover) Music Video

テクニック

LA在住のギタリストPolo Yazakiによる
「HIGHWAY STAR」Music Videoです。

オトナリチャンネルでは、
独自の解説文と一緒にお楽しみください!

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Polo Yazakiの新MVは、ハードロックバンドDeep Purple “Highway Star”(1972年リリース)を
アコギ1本のみでテクニカルに表現し、
スタイリッシュな映像と脱力的なストーリーが融合した
ユーモア溢れる作品である。

勿論相違ないのだが、
このMVはPolo Yazaki(以後Polo氏で表記)が繋ぐ「縁」の連鎖によって
魅力が幾重にも増している。

それは楽曲の選択や映像各シーンにも表れているため、
それぞれ説明していきたい(ストーリー自体は割愛する)。

今作は、ギター1本で演奏できるようアレンジしたインスト曲であるが、
アレンジしたのはPolo氏ではなく、
堀尾和孝氏が過去にアレンジして発表したカバー曲を
更にカバーした形式となっている。

Polo氏でアレンジする事も可能であるのに、
何故この選択をしたのか?
堀尾氏とPolo氏には何か関係があるのか?

堀尾和孝氏は、1970年代後半から活動しているプロのギタリストで、
数多のアーティストとの作品やライブに参加し、
楽曲提供や編曲も行うプロデューサーでもある。

卓越したギターテクニックが特徴で、
2000年頃からアコースティックギター1本のみでバンドサウンドさながら、
メロディ・ハーモニーとリズムを同時に弾くギターインスト作品を制作している。

オリジナル楽曲と独自にアレンジしたカバー曲を多数リリースしており、
現在も精力的にライブ活動をしているギターの匠である。

2人の接点は、2000年代初頭に、Polo氏が当時所属していたバンドが出演した
イベントの対バンで堀尾氏が出演しており、
堀尾氏のライブパフォーマンスにPolo氏が感銘を受けて、
一度は断られながらも堀尾氏に数年間師事し、
ギターテクニックに更なる磨きをかけた経緯がある。

十数年の時を経た2022年、現在はアメリカ・LA在住のPolo氏が、
LAで受けた影響をギター1本の1発録りで表現し、
堀尾氏への最大限のリスペクトも込めた作品となっている。

今作でのPolo氏の演奏は、
基本的に堀尾氏のアレンジに沿ったものとなっているが、
堀尾氏の演奏よりも『レイドバック』している事が大きな違いとなっている。

堀尾氏の演奏は、原曲のニュアンスを緻密で正確なテクニックで表現しつつ、
原曲よりも早いテンポで駆け抜けていく、
曲名通り強烈な疾走感の印象が強い(堀尾氏も自身のレパートリーで1番速い曲との事)。

Polo氏は堀尾氏の演奏と比べ10BPM前後遅くし、
ベースラインの輪郭を際立たせ、ビートの存在が強めとなっている。

テンポも僅かに後ろにずらすブルージーなメロディラインが特徴となり、
よりクールな仕上がりとなっている。

LAの文化、より身近に接しているR&BやHIPHOP等も昇華した
多種多様な音楽観が、この演奏から垣間見えてとても興味深い。

是非とも、両氏の演奏の違いを聴き比べて、各々感じ取ってもらえればと思う。
(Youtubeに堀尾氏の演奏動画がアップされている)

Polo氏は映像作家でもあり、今作は監督・撮影・編集を担当している。
(共同監督・撮影で、ライター・カメラマンの砂流恵介氏が担当)

楽しんでもらいたいサービス精神満載で、
随所に彼のこだわりが多く見られる。

最も印象的なのは、全体に多用されているスローモーションである。

『レイドバック』した音像との相乗効果で、
MV全体の緩急をコントロールし、飽きさせない構成になっている。

撮影ロケ地も、カリフォルニア・岡山県・京都府・静岡県と多岐に渡る。

まずは、Polo氏のLAクルーで撮影した、南カリフォルニア・ジョシュアツリー地区の
荒涼とした砂漠のシーンからストーリーが始まり、
ドライで心地良い違和感を与えてくれる。
(私有地でのゲリラ撮影だったので、映像からは想像もできない程、
大変な出来事ばかりだったとの事)

次に、岡山県真庭市蒜山高原でのシーンへと移る。

Polo氏の出身県である岡山県にあり、
2021年に蒜山高原でエンタメ事業の株式会社オトナリを設立した
岩佐氏(今作のプロデューサー)が、彼の旧来の友人である事もあり、
蒜山高原へ何度も訪れている。

Polo氏は蒜山高原を非常に気に入っていて、
交流から繋がった地元の方々や店舗が今作に協力・出演している。

特に今作のPolo氏と対峙するお坊さん役は、実際でもお坊さんの方で、
蒜山高原の歴史的に非常に由緒ある福王寺の住職である小谷剛璋氏。

小谷氏の豊かな表情で、まさにノリノリで滑稽な怪演が光っている。
(小谷氏はポップ・ロックカルチャーへの理解もあり、
今作のプロデューサーでもある)

静岡のシーンは数秒程であるが、新幹線と富士山が一緒入った映像を急に入れたくなり、
予定外であったが京都への移動シーンとして最適解の俯瞰映像が撮影されている。

そしてクライマックスの京都のシーンは、主に仁和寺で撮影されており、
境内や寺院内でギターを弾いたり、動き回ったり、ドローンを飛ばしたりと、
Polo氏のやりたい事が詰まっている。

仁和寺はユネスコ世界文化遺産登録されているため、
大きなイベントでない限り、いちアーティストのMV撮影ができた事が稀有である。

撮影許可も取得済であるもの驚きだ。

蒜山高原の福王寺と京都の仁和寺は関係が深く、
お互い真言宗の寺院で仁和寺は総本山である。

福王寺住職からの縁から繋がり、仁和寺での撮影が可能となり、
他ではなかなか見られない独特なMVに仕上がる要因となっている。

関西弁の個性的な警官役でET-KINGのセンコウ氏がさりげなく出演しているが、
Polo氏がET-KINGの楽曲のレコーディングに参加している関係で
交流があり、Polo氏からのオファーにも快諾したとの事。

純粋に映像としての面白さもあり、音に合わせたカメラズーム、
早送りの食事シーン、転倒したハプニングシーンを何回も繰り返したり、
ともすれば奇を衒い過ぎて的外れな映像になるところを
絶妙なセンスで差し込んでくる技量も、
Polo氏の映像作家としての矜持を感じ、それが中毒性を孕んだMVとなっている。
(John Frusciante “Going Inside” MV[監督:Vincent Gallo]に影響を受けたとの事)

今作は、レイドバックな楽曲、
人との繋がりで広がっていくPolo氏の人間力から生まれた映像が結実し、
2022年のPolo Yazakiを切り取った記録を埋め込んだMVである。

2022年10月15日に、仁和寺でのライブも決定している。

Polo Yazakiの今後も音楽・映像共に楽しませてくれるのか、
期待せずにはいられない。

文:川島清司

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Polo Yazaki
プロフィール

ロサンゼルスを中心に活躍するギタリスト。
唯一無二のギターサウンドを持ち、
アメリカで15年間鍛えられたそのグルーブは他の追随を許さない!

グランジロックとソロアコースティックギターという
真逆のスタイルを融合させた独特のスタイルを得意とする。

アラスカ以外のアメリカ全州でライブ活動を行い、
Foo Fightersの番組Sonic Highwayにも出演する。

アメリカでロックバンドWhere Giants fallのリードギタリストとして活動する傍ら、
スタジオミュージシャンとして日本のアーティストのレコーディングにも参加。

Poloがギターで参加した浦島坂田船のアルバム”Toni9ht”がオリコン1位を取るなど
日本でも活躍の幅を広げている。

今までレコーディングに参加したアーティストは
なかやまきんに君、ET-KING、Miss.Ooja、私立恵比寿中学、
うらたぬき、Boys and Men、ミラクルひかる、天野月子、9nine

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「HIGHWAY STAR」Music Video

Written By

Richie Blackmore
Ian
Gillan
Roger
Glover
Jon
Lord
Ian Paice

Arranged by
Kazutaka Holio

Guitar
Polo Yazaki

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Producer
Polo Yazaki
Gosho Kodani
Katsuhiko Iwasa

Director

Polo Yazaki
Keisuke Sunagare

Assistant Director
Katsuhiko Iwasa

Junya Yamaguchi

 

Editor
Polo Yazaki

Color Grading
Johnny Yong Bosch
(Vox Rocket Studio)

Cast

Polo Yazaki
Gosho Kodani
Sencow(ET-KING)

Melanie Taylor(Muszette)
Seisuke Muraoka
Yuko Yasui
Keisuke Sunagare
Katsuhiko Iwasa
Memeko Sakata
Akiko Endo
Marie Fujiwara

Artwork
Dieode Design

Makeup
Polo Yazaki
Mayumi Uozumi
Saori Yazaki

Health Management
Miho Shimohata

location
Ninna-ji

Yuyu Hiruzen
Rental Space Akatsuki
FD Photo Studio (Los Angeles)

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